健康食品による健康被害

 日本で健康食品がどのくらい使われているのか分かりませんが、とにかく種類も量もかなりのものでしょう。外来で少し聞いてみても何らかの健康食品やサプリメントを使っている人は多いし、「孫にこれが体にいいからともらったけれど今飲んでいる薬と一緒に使ってもいいですか」という質問もしょっちゅうです。その中には私が見たこともない外国製のものもよくあり、そんな時は「すいませんよく分かりません」としか答えられないわけです。


 ところで一言で「健康食品」と言ってもその中には特定保健用食品という厚生労働省認定のもの(一応有効性の証拠が認められるもの)から証拠はないけれど昔から体にいいと言われているもの、果ては明らかに詐欺商法であるものまで含まれています。今回は今までに健康障害が明らかになった「健康食品・サプリメント」の一部を紹介します。

1 アガリスク

 「これを飲んで末期癌から生還した」といった宣伝文句も見られるキノコの一種、アガリスクですが、国立医薬品食品衛生研究所の試験で一部の製品になんと発ガン性が認められたという何とも皮肉な結果はご存じだと思います。一部の製品と言っても、検査したのが一部の製品ですから他は安全と言うことにはならないでしょう。その前にはアガリスクによる肝炎の報告も出ています。

2 アマメシバ

 東南アジア原産の植物で、健康食品・やせ薬として製品化されています。それによって閉塞性細気管支炎という重症の呼吸器障害をおこし日本で約10人の死亡例が報告されています。台湾でもアマメシバをジュースにして大量に飲んで同様の障害があったそうです。

3 天天素

 2005年5月に摘発された無承認無許可の違法な医薬品で、ダイエット用食品としてインターネットなどを通して売られていました。めまい・嘔吐・下痢・腹痛・動悸などに加えて、因果関係が疑われる死亡事例も報告されています。これは健康食品を装って実は向精神薬や未承認の食欲抑制薬が使われていたもので、なるほどこれならやせるだろうけれど、量を間違えれば死に至るわけです。この手のものは以前から数多くあり、特に中国製ダイエット健康食品の多くに甲状腺ホルモン剤、国内未承認の肥満治療薬などが含まれていることが判明しています。

4 乾燥椎茸のもどし汁

 これは私の経験なのですが、ある日外来にあまり見たことのない発疹を訴えて中年の女性がやってきました。かゆみがあり虫に刺されたにしても分布が変で原因はよく分かりませんでした。別の日に別の女性がなんと同じような症状で受診してきたのです。これは何かあるぞとよく聞いてみると2日前にテレビで乾燥椎茸を水でもどして、それをそのまま飲むと体にいいと言っていたというのです。先の女性にもさっそく確認したところやはり同じことをしていました。2人ともしばらくして発疹はあとかたもなく消えましたが。私はこの発疹を「み○も○た症候群」として記憶にとどめています。

 そのほか人に健康障害が明らかになったわけではないのですが、大豆のイソフラボンにホルモンかく乱作用があり大量摂取を控えるように注意が出たり、過去には無害だったスギヒラタケで腎障害や死者が出たりと、体にいいと思っていたもので健康被害を受ける例がひっきりなしにあります。

 自然界のもので、通常体にいいものでも、製品化して大量にとると問題が起きることがあります。それから「やせ薬」はやめましょう。「効くやせ薬」ほど危険で、やせるどころか死ぬことがあります。またスポーツ選手も健康食品やサプリメントには要注意です。ドーピング検査に引っかかるものがあります。みなさんくれぐれもご注意を。


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